翻訳家になるために

 実務翻訳の仕事を見てみよう

ここでは、実務翻訳の仕事の流れや仕事の受け方、現状について、勉強していきましょう。

出版翻訳の仕事の流れとは
まずは、出版社が翻訳者に仕事を依頼する前のプロセスですが、最初に、出版社のもとには海外出版物の近刊や新刊などが、版権エージェントから大量に持ち込まれてきます。出版社が実際に版権を取得するのは、このうちのごく一部です。この時点で、原作をリーダー(reader)と呼ばれる人たちに読んで評価してもらうわけですが、このこのリーディング作業は、翻訳を依頼する可能性の高い翻訳者に依頼することもありますが、若手の翻訳者や翻訳者志望者などが担当することが多くあります。出版が決定すると、翻訳者の出番ですが、文芸翻訳の場合、一般的に出版社から直接個人の翻訳者に依頼されます。このほか、翻訳会社や翻訳出版プロダクションが受注、仲介するケースも一部に見られます。
出版翻訳に求められるもの
プロの出版翻訳家として成功するためのポイントは、何よりも「日本語力」に長けていることです。しっかりした日本語の文章力や読解力が身に付いていれば、外国語の表現もおのずと豊かになるからです。必要とされるのは、外国語の小説を、一つの優れた作品として、また違和感なく日本の読者に読ませる力、翻訳を意識させずに読者を引きこむストーリーテリングの力なのです。出版翻訳家には、そうした豊かな日本語力が求められます。小説を訳すには小説家としての力、論文翻訳なら研究者として文章を書くくらいの力を必要とされる現場なのです。豊かな日本語の語彙と表現力、そして広い視野につながる人生経験を要する仕事だけに、年齢と経験を重ねてから活躍する翻訳家が多くいるのも現状です。
権利と責任
翻訳者の権利と責任についてですが、翻訳出版権などの関係から、ある本を日本で翻訳できるのは、原則として一回限りであることを忘れてはいけません。その大切な1回で翻訳者が解釈を間違えればその間違いはずっと残ることになります。万一、訳漏れがあれば内容が欠けたままになりますし、日本語の文章が稚拙であれば、本来の内容や原作の味わいや言わんとすることが、読者に伝わらないままとなってしまいます。当然のことですが、翻訳者の役割は重大なものとなります。自分が翻訳した日本語に対しては全責任を負うことになります。このような重責を担う翻訳者の権利は、著作権法で守られており、翻訳された日本語の文章については著作権は翻訳者に帰属することになるのです。
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